悪魔は存在するのか?プーチンの違法な侵攻

ロシアが違法な武力による砲撃を強化することで、ウクライナの人道的危機は深まっています。食糧、水、暖房や医薬品は減少の一途をたどっています。100万人の子どもを含む200万人を超す避難民が、ウクライナから逃れています。ロシア軍の侵攻は速度を落としつつありますが、一般市民の死者数は増加しています。この記事で、あるストーリーを共有させてください。何年も前の1884年、小さな礼拝堂でローマ教皇レオ13世がミサを行っていたとき、祭壇の近くで突然声が聞こえました。彼はあたりを見回しましたが、誰もいませんでした。しかし、耳にした言葉に恐怖にうち震えました。教皇が耳にしたのは、神と悪魔の会話でした。


会話はヨブ記で語られている出来事と似ていました。ヨブ記の中で、悪魔は神に高潔なヨブの信仰心を試したいと願い、神からその許可を受けました。ここで、悪魔は神が認めるのであれば、カトリック教会を破壊することもできるとも自慢しています。悪魔に必要なのは時間と力だけでした。神は悪魔に尋ねられました。どれくらいの時間と力が必要なのかと。悪魔は、100年程度だと答えました。神は応じました。「わかった。おまえには時間と力が与えられよう。その時間と力でやってみるがよい」と。


耳にした会話にショックを受けた教皇レオ13世は、自分の書斎に直行し、大天使聖ミカエルへのこの懇願の祈りを作成しました:


大天使聖ミカエルよ、わたしたちを闘いにおいてお守りください。よこしまな者たちと悪魔の罠から、われらを守る砦となってください。天使たちの長よ、魂たちの破滅をもくろみ、世をうつろう悪魔と悪霊たちを、神の御力をもって、地獄に落としてください。アーメン

教皇レオ13世は、悪魔からの攻撃や影響力に対する教会や世界を保護するため、読唱ミサの後で必ず唱えるよう要請しました。この習慣は今も世界各地で続けられています。


ここで申し上げたいのは、悪魔は存在するということです。悪魔や堕天使はイエス・キリストや教会を憎んでいます。彼らは教会の破壊に積極的に関与しています。悪魔が用いる方法の一つは、人間の間で大惨事を引き起こし、最終的に人間と神との関係を破壊するというものです。

それから教皇レオは、教会と世界を悪魔の力と影響から守るために、ミサの後にこの祈りを唱えることを要求しました。 この習慣はまだ世界の多くの地域に存在しています。


ウクライナがその例です。毎日、ロシア兵がウクライナ国民にもたらしている広範かつ総合的な破壊のニュースで溢れています。ロシアによる他国へのこの不法な侵略行為は、ウクライナの無力な女性や子どもたちに対する一方的な戦争になっています。ロシア兵は住宅、学校や病院などの主要な居住区への砲撃を続けており、何の罪もない人々を無差別に殺しています。国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)によると、これまでに、何千人ものウクライナの民間人が負傷し、多くの人が殺されました。実際の数字はこれよりも「大幅に多い」可能性が高いとのことです。


ロシア軍の武器庫にはクラスター爆弾、ロケットおよび空中で開き子弾を放出する砲弾、または広い範囲に拡散し、複数の標的を同時に攻撃する「小型爆弾」などが装備されています。戦車、カリブル(Kalibr)巡航ミサイルを搭載した戦闘機またはイスカンデルミサイルはほんのわずかです。これらの一部は、ロシアの同盟国であるベラルーシの領土から発射されていました。


イゴールという54歳の男性の話では、彼の12歳の娘さんは、障害があって車椅子を使用しており、彼ら家族が住んでいた村が攻撃されたときに殺されたそうです。イゴールさんの妻、義母、2人の義理の息子や妻の友人も亡くなりました。孫の2人は、マルシクという猫と一緒に生き残りました。


一般の住民の被害を大きくするために、ロシア兵はドネツク-マウリポリのパイプラインを破壊し、その結果70万人を超える人々が氷点下の気温の中で暖を取れずにいます。


ロシアの人道に対する犯罪に加えて、ロシア軍は現在国を逃れようとしている避難民も標的にしています。たとえば、ロシア軍は、事前に停戦に合意したにもかかわらず、ウクライナの都市であるマウリポリへの砲撃を継続し、避難しようとしている多くの一般市民を混乱に陥れています。ウクライナの人々は、現在も電力もなく、食糧や水もほとんど入手できないままです。避難民の中には、ウクライナのがんを患った子どもたちや障害のある子どもたちがいます。


ロシア兵は、ウクライナ全土の無力なウクライナ人により多くの苦しみを与えるための新たな方法を模索しており、避難民はまだ増え続けています。


私には、若い兵士たちの一群が、若いロシア人たちが、老人、女性や子どもなど、他国の無防備な人々に悪を行い苦痛を課すことができるのか、理解に苦しみます。ロシア人たちは本当にプーチンの破壊的な侵略行為を支持しているのでしょうか?現在、プーチンはロシアの報道の自由、ラジオやテレビを掌握しています。また、ウクライナでの戦争や軍を批判した人間には、15年の禁固刑を科すと、自国の国民を脅しています。つまり、自国の国民だけでなく、他国の人々をも抑圧する残虐な独裁者が新たに作られつつあるのです。


基本的に、ロシア人はキリスト教徒ではないのでしょうか?彼らは神を信じないのでしょうか?全人類に備わっているはずの価値観や原則はないのでしょうか?彼らには善悪の判断力がないのでしょうか?


これは悪が作用している最たる例です。悪魔は実在するのです。悪魔やその他の堕天使は、善良な人々を破壊するためには何でもするでしょう。ウクライナで我々が目にするのは、核兵器を使用すると脅し、実際に使用すると思えるほど正気を失ったようにみえる、他国を侵略する病んだ独裁者です。


この厳しい状況にもかかわらず、私たちが恐れる必要はありません。神は悪魔と比較にならないほど強大な力をお持ちなのです。全は悪よりもはるかに強い力を持ち、真実は嘘に勝るのです。しかし、世界の悪魔の存在と、悪魔が私たちを破滅させようしていることを認識する必要があります。聖ペトロは、その第一の手紙で私たちに教えてくださいます、「節制し警戒せよ。敵の悪魔は吠えるししのように、食い荒らすものを探して、あなたたちのまわりを回っている。信仰を固めて彼に抵抗せよ。」(ペテロの手紙第一5章8節)」と。私たちは警戒を怠るべきではありませんが、決して恐れてはいけません。


ルカの福音書 4章1-13節では、イエスは荒野に向かわれ、悪魔とその誘惑に対峙されました。悪魔はあらゆる手を尽くし、この世にあるすべての喜びや力を用意します。しかし、イエスは悪魔とその空約束を拒絶します。なぜでしょう?それは、イエスが父なる神のイエスへの愛を確信しているからです。イエスは石をパンに変える必要はありません。神がイエスに食糧を与えてくださるからです。イエスはこの世界の王国の支配者となる必要はありません。神がイエスに天の王国を与えてくださると信じているからです。また、イエスは、神殿の頂きから飛び降りて、神が守ってくださるかを悪魔や自分自身に証明する必要はありません。そのようなことをする必要もないほど、イエスは神を信じているのです。


イエスは、私たちに暮らしの中でどのように誘惑に打ち克つことができるかを示してくださいます。神の私たちに対する無条件な愛を信じ、常に私たちを養ってくださることを信じることによってです。


悪魔は私たちの恐怖感を刺激して、私たちを誘惑しようとします。悪魔は、神が私たちを捨てたのだと説得しようとします。神が私たちのことを思ってくださっていないと、私たちに思い込ませようとします。しかし、これらはすべて嘘です。私たちは神に愛されています。神が私たちに罪を犯すなと命令する場合、それは私たち自身に害が及ばないようにするためです。罪を犯すことで、私たちは自分自身を害することになり、他者を傷つけたりするのです。


悪魔が私たちに教えようとする別の嘘は、私たちが抵抗できないというものです。私たちが罪深い人間であることを思い出させ、誘惑に立ち向かうには弱すぎると諭します。しかしこれは真実ではありません。私たちは罪深い人間ではありますが、誘惑に「ノー」ということはできます。罪は、私たちがそれに屈したときのみ力を持つのです。聖ペトロの導きのとおり、私たちが堅く信仰に立って誘惑に抵抗した場合、神の助けによって誘惑に打ち克つことができるのです。


悪魔は最後の罠を1つ隠し持っています。私たちが誘惑に屈して罪を犯した場合、悪魔は神が私たちを許さないだろうと説得してきます。恥や罪悪感を積み重ね、私たちを神から隠れさせようとします。私たちを神から遠ざけ、私たちを孤立させようとするのは悪魔の戦略の一環です。悪魔を信じてはいけません!神は常に進んで私たちを許してくださいます。天の父なる神が私たちを愛することをやめるような大きな罪などないのです。


イエスは荒野で悪魔を退け、十字架によって悪魔の王国に終止符を打ちました。イエスが私たちを救うためにしてくださったすべてのことを忘れないことで、自信と決意を持って暮らしの中で誘惑に立ち向かうことができるのです。私たちは神に愛されています。私たちは常に神に許されています。その事実に悪魔ができることは何もないのです。


戦争にかかわる問題は複雑です。しかし、カトリック教会の教えは明確です:私たちは戦争に反対です。これをもっともうまく説明したのは教皇ヨハネ・パウロ2世の、2003年のイラク侵攻時の外交官に対する演説です:


「戦争にノーを!戦争は必ずしも不可避なものではありません。それは常に人道主義の敗北なのです。国際法、率直な対話、国家間の連帯、外交の高潔な実行:これらは個人や国家間で互いの相違を埋めるうえで価値ある方法です。私がこれについて話すのは、核兵器にいまだに信を置く人々や、引き続き人道において私たちの兄弟姉妹を人質に取り続ける、あまりにも数多くの紛争が頭に浮かぶためです…。悪化の一途をたどる中東の危機に直面した状態で、軍事上の勝利が解決策であるかのように、テロリストや武力衝突に頼ることでは解決策は決して得られません。戦争は、国家間の相違を解決するために用いることのできるただの別の方法では決してないのです。」

ウクライナで紛争が起こっているこの時期に、平和を祈り、大天使聖ミカエルへのこの懇願の祈りを日々唱えましょう。


大天使聖ミカエルよ、わたしたちを闘いにおいてお守りください。よこしまな者たちと悪魔の罠から、われらを守る砦となってください。天使たちの長よ、魂たちの破滅をもくろみ、世をうつろう悪魔と悪霊たちを、神の御力をもって、地獄に落としてください。アーメン

ノボトニー ⋆ ジェローム 神父 について

Oblate Missionaries of Mary Immaculate (0MI)は 聖母献身宣教会 (オブレート 会)に所属するカトリックの司祭ならびに兄弟のグループです。私たちは 全ての人々 --特に貧しい人々 --が人間としての尊厳に対して、完全な自覚を勝ち取るために 努力しています。私たちは、声なき者の叫びを聞き、そして多くの人に聞いてほしい とがんばっています。正義への行動は、私たちの仕事に欠くことのできない部分であ り、抑圧と貧困の原因となる全てを変えようとしているのです。このように、私たち は、まさに命の誕生からその終わりまで、人間の尊厳を認識する社会を創ることにあ ずかっています。
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