ロストジェネレーション(失われた世代)を生む「安全地帯」

r01「生命のため、友人」ー 今日の世界は途方もない危機に覆われ、その危機は拡大を続けている。我々の多くはそうした危機を本当に懸念しているのだろうか?それとも「安全地帯」に住む人は「安全地帯以外」で苦しむ人に関心を持たない段階に到達してしまったのだろうか。

r02これを書いている時点で、強制退去を余儀なくされた難民は世界で5110万人もいる。自国に残る人がいる一方で、大半は隣国に脱出するか、先進国に難民として受け入れられることを希望している。生存をかけた戦いの中で彼らが最優先するのは家族の安全の確保である。

レバノン、ヨルダン、エジプト、イラクには、女性達を先頭に145,000家族以上の難民がシリアから逃げ込んでいる。夫が殺害、拘束された、あるいは生き別れになった妻たちが家族への責任を一手に引き受けているが、子供を抱えた妻たちは、困難、孤独、不安のスパイラルに陥っている。

r03最近、イラクでの暴動が激化してきたことで、何十万人ものイラク人が母国を逃れ、絶望的な困窮状態に陥っている。その多くがほとんど着の身着のままでシェルターに辿り着いている。彼らはお金も持っていなければ、行くところもない。臨時キャンプが設置され、テント、食糧、水、トイレ、医薬品、その他我々が「安全地帯」において当然と考えている生活必需品が常に不足する状態となっている。

世界の他の地域に目を向けると、チャド、中央アフリカ共和国、南スーダンに住むアフリカ人難民80万人が食糧危機に見舞われている。こうした地域の紛争により、食糧危機の問題はすでに多くが貧血に悩まされている子供たちの栄養失調をさらに悪化させる脅威となっている。

r05理解に苦しむのは、こうした状況に背を向けて難民の入国を拒否する傾向が富裕国で高まっていることだ。インターネットで検索すると、この様子を詳細に記した一連の記事が見つかる。現在の状況は、英国、米国など、国連に加入している先進国に見られる。それらの国の多くは金銭的支援を行っているが、直接的な関与をしようとはしない。大きなバリアを作り、難民と自分たちを隔てている。金銭は提供しても、バリアの中に入れようとはしないのだ。

r04これが失われた世代の人々である。ベルリンの壁を作って遠ざけなければならないほど難民と我々に差があるのだろうか? 彼らは今、苦しみの中にあり、生活を取り戻すチャンスを必要としている。彼らには我々の「安全地帯」で生活を共にする権利がある。難民の大半は女性と子供で、国連によるとその割合は約80%と言われている。5110万もの人々が基本的人権を奪われているだけでなく、教育を受けられない子供たちは未来を失い、「失われた世代」と呼ばれている。

正しい方向に進むための第一歩は、世界の難民危機を他人事ではなく我々の問題として学び、受け入れることである。

 

ノボトニー・ジェローム、OMI
2014年08月09日掲載
英語原文  ー “Comfort Zones” Creating A Lost Generation

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